布に残る、職人の手の温度。ブロックプリントという選択

商品ガイド

インドの布、と聞いてどんなものを思い浮かべるでしょうか。
色が鮮やか、柄が細かい、ちょっと異国っぽい。
そんなイメージはあるけれど、「ブロックプリント」という言葉自体は、まだあまり馴染みがないかもしれません。

ブロックプリントは、インドで古くから作られてきた、手仕事の布。
機械で一気に刷るプリントではなく、木版(スタンプ)を一つずつ押し重ねて、模様を作っていくという、とてもシンプルな方法で生まれています。

だから、よく見ると少しだけズレていたり、色の濃淡に揺らぎがあったり。
完璧にそろっていないところが、この布のいちばんの特徴です。

「きれいすぎない」「揃いすぎない」
でも不思議と、毎日の暮らしにはよくなじむ。
ブロックプリントは、そんな距離感の布だと思っています。

今回は、ブロックプリントってそもそも何なのか、
どんなふうに作られていて、どんな人に向いているのか。
はじめての方にも分かりやすく、少しずつお話ししていきます。

🧵ブロックプリントって、どんな布?

ブロックプリントは、インド各地で古くから作られてきた、伝統的な布づくりの技法です。
名前の通り、「ブロック(木版)」を使って模様を染めていくことから、そう呼ばれています。

使われる木版は、職人の手で彫られたもの。
花、葉、蔓、幾何学模様など、柄ごとに版があり、
それらを布の上に一つずつ、手で押して模様を重ねていきます。

色も、版も、工程もすべて人の手。
そのため、機械プリントのように均一にはなりません。

ほんのわずかなズレ、かすれ、色の重なり。
それらは失敗ではなく、手仕事だからこそ生まれる表情として、大切にされてきました。

ブロックプリントの布は、どこかあたたかくて、素朴。
主張しすぎないのに、きちんと存在感がある。
だからこそ、洋服や小物、インテリアなど、暮らしの中で長く使われてきたのだと思います。

🪵どうやって作られているの?

ブロックプリントの布は、いくつもの工程を経て作られます。
一見するとシンプルな柄に見えても、完成までには手間と時間がかかっています。

まず、コットン生地を水で洗い、不純物を落とします。
これは、染料がきれいに布に定着するようにするための、大切な下準備です。

次に、職人が木版に染料を含ませ、布の上に一つずつ、リズムよく押していきます
柄の位置を目で確かめながら、手の感覚だけを頼りに進めていく作業です。

色が一色だけとは限りません。
色が変わるたびに版を替え、乾かし、また重ねる。
柄が複雑になるほど、この工程は何度も繰り返されます。

すべてのプリントが終わったら、再び洗いをかけ、天日で乾燥。
インドの強い日差しの下で乾かされることで、布はやわらかく、風合いのある仕上がりになります。

こうして出来上がった布は、
同じ柄でも、まったく同じ表情のものはありません。

少しのズレ、色のにじみ、刷りの強弱。
それらすべてが、「人の手で作られた布であることの証」として残されています。

⚙️機械プリントとの違い

布のプリントと聞くと、
多くの方が思い浮かべるのは、工場で作られる機械プリントかもしれません。

機械プリントは、版やデータを使って一気に刷るため、
柄のズレがなく、色も均一で、同じものを大量に作れるのが特徴です。
安定した品質が求められる製品には、とても向いています。

一方、ブロックプリントは、
職人が木版を持ち、布に直接スタンプしていく手仕事の布

力の入り方や、染料の含み具合、布の状態によって、
ほんのわずかなズレやにじみが生まれます。

機械プリントでは「不良」とされるような部分も、
ブロックプリントでは布の個性として受け取られることが多いのです。

きっちり整った美しさ。
人の手が残る、ゆらぎのある美しさ。

どちらが良い・悪いではなく、
どんな雰囲気を暮らしに取り入れたいかで、選び方が変わる布だと思います。

ブロックプリントは、
「少しラフで、少し不揃い」なところを含めて、楽しむ布。

完璧じゃないからこそ、
手に取った人の暮らしに、自然となじんでいきます。

🧺どんな人に向いている布?

ブロックプリントは、
正直に言うと、誰にでも向いている布ではありません。

柄のズレや色ムラがあったり、
一枚一枚、少しずつ表情が違ったり。

「完璧にそろったものが好き」
「見本とまったく同じ仕上がりを求めたい」
そんな方には、機械プリントの布の方が、きっと安心です。

一方で、ブロックプリントは、こんな方に向いています。

  • 手仕事の雰囲気や、作り手の気配が残るものが好きな方
  • 多少のムラやズレも「味」として楽しめる方
  • 暮らしの中に、少しだけ異国の空気を取り入れたい方

また、ハンドメイドをされる方にとっては、
作品ごとに少しずつ違う表情が出るのも、ブロックプリントならではの魅力です。

同じ型紙、同じ布でも、
仕上がりがほんの少し違う。

それは「失敗」ではなく、
その布、その作品だけの個性。

世界にひとつだけ、とは言わないけれど、
どこか自分だけの一枚だと思える。

ブロックプリントは、
そんな感覚を大切にしたい人に、そっと寄り添ってくれる布です。

🏠ブロックプリントと暮らし

ブロックプリントは、もともと「特別な布」ではありません。
インドでは何百年も前から、人々の暮らしのすぐそばにあった日常の布でした。

衣服として身にまとう布、寝具や敷物、赤ちゃんを包む布。
市場で売られ、家で洗われ、繕われ、また使われる。
ブロックプリントは、そうした生活の循環の中で育ってきた染め布です。

インドでは、地域ごとに異なる木版や色使いが発展し、
更紗(さらさ)の文化として、交易を通じて世界へも広がっていきました。
17〜18世紀にはヨーロッパにも渡り、
後のプリント布文化に大きな影響を与えたとも言われています。

現在のインドでも、ブロックプリントは暮らしの中で使われ続けている布のひとつです。
一方で近年は、手仕事の価値や背景があらためて見直され、日常使いの布としてだけでなく、装飾的・工芸的な布として扱われる場面も増えてきました

現地の市場で売られる素朴な布から、国内外へ向けた少し特別なプロダクトまで。
ブロックプリントは今も、暮らしに根ざした存在でありながら、時代に合わせてさまざまな表情を見せています。

少し色が落ちても、ズレがあっても、
「まあ、こういうものだよね」と受け止められる。
完璧さよりも、使い続けることが前提にある布だからこそ、
日常の中で不思議と馴染んでいきます。

ブロックプリントは、飾るための布ではなく、
暮らしの中で育っていく布
その距離感こそが、長く愛されてきた理由なのかもしれません。

✂️ブロックプリントは、ハンドメイドのための布

ブロックプリントの布は、完成品として眺めるためのものというより、
手を動かす人のための「素材」としてこそ、本領を発揮する布だと思います。

木版を一つずつ押して作られるため、柄の位置がほんの少しずれていたり、
色の入り方に濃淡があったりします。
機械プリントなら「ミス」とされてしまう部分も、
ブロックプリントでは一枚ごとの個性として残されています。

この揺らぎは、裁断する位置によって表情が変わるということでもあります。
同じ布から作っても、バッグと洋服、小物とインテリアでは、
まったく違う雰囲気に仕上がる。

「この柄を、どこで切り取ろうか」
「どの部分を主役にしようか」
そんなふうに考える時間も含めて、ブロックプリントは楽しむ布です。

コットン素材で扱いやすく、
ミシンでも手縫いでも縫いやすいのも特徴のひとつ。
ハンドメイド初心者の方から、作品づくりに慣れた方まで、
幅広く取り入れやすい素材として選ばれています。

完璧にそろった布ではなく、
手の痕跡がそのまま残る布。
だからこそ、そこから生まれる作品にも、
自然と「作り手の気配」が宿るのだと思います。

🫧ブロックプリント布のお手入れについて

ブロックプリントの布は、特別な扱いが必要な素材ではありませんが、
手仕事ならではの特性を少しだけ意識していただくと、
より長く、心地よく使うことができます。

まずおすすめしたいのが、ご使用前の水通しです。
インド製のブロックプリント布は、染色後に強い防縮加工をしていないことが多く、
最初の洗いでわずかに縮みが出る場合があります。

制作前に一度水に通しておくことで、
完成後のサイズ変化や色移りを防ぎやすくなります。

洗濯の際は、

  • 中性洗剤を使用する
  • ネットに入れる、または手洗い
  • 最初の数回は単独洗い

を目安にしていただくと安心です。
色止めはされていますが、
手押し染めのため、濃色部分からわずかに色が出ることがあります。
これは品質の問題ではなく、ブロックプリント特有の性質です。

干すときは直射日光を避け、
風通しのよい日陰で自然乾燥がおすすめです。
色味をやさしく保ち、布の風合いも長持ちします。

丁寧に扱うほど、
少しずつ柔らかく、肌になじむように育っていく。
それもまた、ブロックプリントの楽しみのひとつです。

🛍️当店で扱っているブロックプリントについて

当店で扱っているブロックプリント布は、
インドの職人たちによる手仕事で作られたものを中心に仕入れています。

すべて一点ずつ、
「実際に手に取って使ったときのイメージ」を大切にしながら選んでいます。
柄の美しさだけでなく、
日常の中でどう使えるか、どんな作品に向いているか、
そんな視点で見ています。

色合いは、派手すぎず、でも埋もれないもの。
服に仕立てても、小物にしても、
暮らしの中で自然に馴染む柄を意識しています。

また、ブロックプリントは毎回同じ柄が安定して作られるものではありません。
版木の状態や染料、職人の手の動きによって、
少しずつ表情が変わっていきます。

そのため、同じ柄が再入荷しないことも多く
「今あるこの一反、この表情」が一期一会になる場合もあります。

大量生産の生地とは違う、
少し不揃いで、でも温度のある布。
そんなブロックプリントの魅力を、
素材として、暮らしの中へ届けられたらと思っています。

🌙おわりに

ブロックプリントは、
特別な知識がないと扱えない布ではありません。

完璧にそろった柄や、均一な色味ではないけれど、
その分、日常の中では不思議と使いやすく、
手に取るたびに少しずつ愛着が増していく布だと思います。

ハンドメイドの素材としても、
暮らしの中の布ものとしても、
「きれいすぎない」「主張しすぎない」存在。

もし、
大量生産の布とは少し違うものを探していたり、
手仕事の温度が残る素材に惹かれるなら、
ブロックプリントはきっと相性がいいはずです。

当店では、そんな布を、
暮らしの中で実際に使うことを想像しながら選んでいます。

気になる柄があれば、
ぜひ、自分のペースで取り入れてみてください。
布との付き合い方に、正解はありません。

あなたの暮らしの中で、
ブロックプリントが静かに馴染んでいきますように。

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