アラブの人からふわっといい香りがする理由を調べていくと、
よく出てくるのが 「バフール(Bukhoor)」 というお香の存在です。
バフールは、アラブや中東などのイスラム圏で古くから使われてきたお香で、
日本のように「部屋で香りを楽しむもの」というより、
服や髪に香りを移すために使われるのが一般的。
実際に調べてみると、
・出かける前に服に香りを焚きしめる
・香水をつける前の身だしなみとして使う
・強く香らせるためではなく、布にほのかに残す
といった使い方が、ごく自然な習慣として根づいているようです。
つまり、アラブの人の「いい匂い」は、
特別な香水や派手な演出によるものではなく、
服そのものを整える延長としての香り。
今回は、
・バフールとは何か
・なぜ服に香りを焚きしめるのか
・「アラブの香り」が身だしなみとして成立している理由
を、はじめての人にも分かりやすくまとめていきます。
「アラブのお香ってどう使うの?」
「服に香りをつけるって実際どんな感じ?」
そんな疑問を持ったところから、ゆっくり読んでみてください。
🪵 バフール(Bukhoor)とは?
バフール(Bukhoor)は、アラブや中東を中心としたイスラム圏で広く使われているお香のこと。
木片や樹脂、香料などをブレンドしたものを炭や電気香炉で焚き、立ちのぼる煙を使います。
日本のお香と大きく違うのは、
「香りを空間に漂わせて楽しむ」よりも、「香りを服や髪に移すために使う」という点。
外出前や人と会う前に、
服の下から煙をくぐらせたり、髪やスカーフに軽く香りを通したりするのが一般的です。
実は、日本のお香と違って空間を変えることが主の目的とされた物ではないのです。
本場では布にほんのり香りが含まれる程度で十分で、
「香る服=整えられた身だしなみ」として扱われています。
👚 なぜ、香りを「服」に焚きしめるの?
アラブや中東などのイスラム圏では、
お香の香りは「部屋を香らせるもの」というより、身にまとうためのものとして使われてきました。
その理由は、とてもシンプルです。
服は、身体と空気のあいだにあるもの。
直接肌につけるわけでもなく、かといって空間に広げてしまうわけでもない。
香りをいちばん穏やかに保てる場所だからです。
強く香らせたいわけではありません。
すれ違ったとき、近くに座ったとき、ふとした動きの中で
「あ、いい香りがするな」と感じるくらいでちょうどいい。
そのため、バフールの煙を服に“しっかり染み込ませる”必要はありません。
一度、軽く煙をくぐらせるだけ。
それだけで、香りは布の中に静かに残ります。
日本のお香のように、
「部屋全体を香りで満たす」感覚とは、少し違います。
あくまで目的は、
自分が整った状態で、人と同じ空間にいるため。
香りを主張するためでも、目立つためでもなく、
身だしなみの延長として、自然に使われている——
それが、服に焚きしめる香りの考え方です。
🕰️ 実は、数秒でいい。服への焚きしめは思っているより手軽
ここ、私も最初びっくりしました。
「服にお香を焚きしめる」って聞くと、
もっと本格的に、長い時間煙に当てるのかな……と思うじゃないですか。
でも実際は、数秒でも十分なんです。
香りを“ガッツリ染み込ませる”というより、
ふわっと通して、布にうっすら乗せるくらいがちょうどいい。
特にバフールは煙の香りがしっかりあるので、
長時間やると重くなりやすいです。
だからこそ、短くていい。ここが気楽。
「えっ、これだけ?」って拍子抜けするくらいで、
すれ違ったときにだけ気づくような、ちょうどいい香りになります。
いちばん簡単なやり方(ハンカチで試す)
いきなり服でやるのが不安なら、まずはハンカチがおすすめです。
- 香炉(または耐熱皿)でバフールを焚く
- 煙が出てきたら、ハンカチを上でふわっと持つ
- 3〜5秒でいったん離す
これだけで、ハンカチを使うたびにふわっと香ります。
「強すぎないかな?」って心配な人ほど、まずこれが安全。
服にやるなら「裏側」に、ほんの数秒
服に焚きしめるなら、表面よりも裏側がおすすめです。
外側が強く香ると主張が出やすいけど、裏側だと動いたときにだけ立ち上がってくれます。
- 煙を服の内側にふわっと通す
- 5〜10秒で終わり
ポイントは「少ないかな?」くらいで止めること。
足りなかったら、次の日にもう一回やればいいだけです。
香りをまとわせるって、もっと難しいものだと思ってたけど、
実は数秒で“整う”。
この気楽さが、バフール文化の面白いところだなと思います。
☕️ 今日、私がやってみるとしたら
イスラム圏の文化としての焚きしめは、とても自然で日常的なもののようです。 ただ、それをそのまま日本の暮らしに当てはめる必要はない、とも感じます。
日本の家は空気がこもりやすく、人との距離も近い。 だからこそ、香りは「しっかり付ける」よりも、「さっと整える」くらいが合っていそうです。
バフールを焚く時間も、数秒で十分です。 煙をたっぷり浴びせるのではなく、 服が一度、香りの中を通ったくらいで止める。 それだけでも、動いたときにふわっと香りが立ち上がります。
香水のように存在感を出すための香りではなく、 身の回りを整えた結果として残る香り。 焚きしめは、そういう使い方がしっくりきます。
いきなり毎日の服で試さなくても、 ストールやコートなど、外に出るときだけ使うものからで十分です。
🌫️ どうして「数秒」でいいのか、もう少し知りたくなったら
実際にバフールを使ってみると、
「え、もう終わりでいいの?」
「決まりはないって聞いたけど、みんな同じくらいなのはなぜ?」
そんな疑問がふと浮かぶ方もいるかもしれません。
この「数秒で十分」という感覚の背景には、
香りの考え方や、イスラム文化圏で長く共有されてきた身だしなみの前提があります。
ここではあえて詳しく説明しませんが、
「どうして作法が決まっていないのか」
「なぜ香りを強く残さないのか」
そうした理由を、思想と生活の両面から丁寧に整理した記事を、
姉妹サイト Mirʾāt al-Dukhān にまとめています。



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