ブロックプリントの布を手に取ったとき、
「普通の綿と同じでいいのかな?」
「扱いづらかったりしない?」
そんなふうに、少しだけ不安になることってありますよね。
結論から言うと、ブロックプリントは特別に難しい布ではありません。
素材としては綿。縫いやすく、日常にも取り入れやすい布です。
ただ、ひとつだけ違うのは、この布が工業製品ではなく、手仕事から生まれているということ。
色の出方、線の揺れ、染まり方のムラ。
それらは不良ではなく、この布が持っている個性です。
そしてその個性は、洗ったり、使ったりする中で、少しずつ落ち着いて、馴染んでいきます。
この記事では、ブロックプリントを使うときに知っておくと安心なポイントを、
「注意」ではなく「付き合い方」としてまとめました。
構えすぎなくて大丈夫。
でも、知っておくと布との距離がぐっと近くなる。
そんな前提として、ここから読んでもらえたら嬉しいです。
🧼 ブロックプリントの基本的な洗い方
ブロックプリントの布は、基本的には綿100%。
特別な素材ではありませんが、最初の洗い方だけは少しだけ気にしてあげるのがおすすめです。
これは「扱いにくいから」ではなく、
手作業で染められている布だからこそ起こる、ごく自然な特徴。
- 最初は単独で洗う
ブロックプリントは、最初の数回は余分な染料が出ることがあります。
他の衣類への色移りを防ぐため、最初は単独洗いがおすすめです。 - 水またはぬるま湯でやさしく
熱いお湯は色落ちの原因になりやすいため、
水〜ぬるま湯で、軽く押し洗いする程度で十分です。 - 中性洗剤を少量
洗剤はおしゃれ着用などの中性洗剤を少なめに。
強い洗剤や漂白剤は、色味や風合いを損ねることがあります。 - こすらず、つけすぎず
ゴシゴシ洗ったり、長時間つけ置きする必要はありません。
軽く洗って、さっとすすぐだけで大丈夫です。 - 陰干しで自然に乾かす
直射日光は色あせの原因になることがあります。
風通しのよい場所で、陰干しがおすすめです。
一度洗って色が落ち着けば、
その後は「少し気をつける普通の綿布」として扱って問題ありません。
最初のひと手間は、
ブロックプリントの色と時間を、ゆっくり馴染ませるための準備のようなもの。
過度に構えず、布の様子を見ながら付き合っていくのがいちばんです。
🎨 色落ち・経年変化は「劣化」ではない
ブロックプリントの布は、使っていくうちに少しずつ色が変わっていくことがあります。
これは失敗や品質の問題ではなく、手仕事の染め布ならではの自然な変化です。
最初の数回で出る余分な染料が落ち着いたあとも、
日々の洗濯や日差し、触れる回数によって、
色は少しずつ柔らかく、穏やかになっていきます。
この変化は、
「薄くなる」「弱くなる」というよりも、
角が取れて、布が馴染んでいく感覚に近いかもしれません。
工業プリントのように、
何年経ってもまったく同じ色を保つことはありません。
でもその代わりに、使った時間が、そのまま布に残るのがブロックプリントです。
よく見ると、
最初は気になっていたムラやかすれが、
いつの間にか全体の表情としてまとまってくることもあります。
色落ちや経年変化は、
「劣化」ではなく、布が生活に溶け込んでいく過程。
新品のときの鮮やかさも、
少し落ち着いたあとの雰囲気も、
どちらもその布の一部として楽しめたら、
ブロックプリントはとても長く付き合える素材になります。
🧵 ブロックプリントを扱う前に知っておきたいこと
ブロックプリントの布は、工業製品とは少し違う前提で作られています。
均一さや正確さを目指した布ではなく、
人の手を通って生まれることを前提にした布です。
木版を一つずつ押し、色を重ね、乾かし、また押す。
その工程の中で、
わずかなズレ、濃淡、かすれが生まれます。
それは失敗や不良ではなく、最初から含まれている「揺らぎ」。
左右が完全に対称でなかったり、
同じ柄でも場所によって印象が違ったりするのは、
この布が一枚ずつ、手作業で染められている証でもあります。
ブロックプリントを扱うときに大切なのは、
失敗を防ごうと構えすぎないこと。
「完璧に仕立てる」よりも、
「この布とどう付き合うか」を考える方が、
ずっと気持ちよく、楽しく使えます。
少しのズレやムラも含めて、
この布はこういう性格なんだと受け取る。
それだけで、裁断や仕立てのときの気持ちが、ずいぶん楽になります。
この章で伝えたいのは、
注意点を覚えて身構えることではなく、
ブロックプリントと、気持ちよく付き合うための視点です。
📦 ブロックプリントの保管について
ブロックプリントの布は、特別な保管方法が必要な素材ではありません。
基本は「風通しがよく、湿気がこもらない場所」であれば十分です。
ただし、いくつか知っておくと安心なポイントがあります。
① しっかり乾かしてからしまう
洗ったあとは、完全に乾いた状態で保管します。
湿り気が残ったままだと、カビやにおいの原因になることがあります。
② 直射日光は避ける
長時間強い光に当たると、色がゆっくりと褪せていくことがあります。
しまうときは、日が直接当たらない場所がおすすめです。
③ たたみっぱなしにしすぎない
長期間まったく動かさずにいると、折り目が定着しやすくなります。
ときどき広げたり、たたみ直したりするだけでも違います。
④ 防虫剤は強すぎないものを
綿布なので、一般的な防虫対策は有効ですが、
香りの強い防虫剤は布に匂いが移ることがあります。
気になる場合は、無香タイプや天然由来のものを選ぶと安心です。
難しい管理は必要ありませんが、
「湿気・光・放置しすぎ」を避けるだけで、
ブロックプリントの布はとても長くきれいに使えます。
しまい込むための布ではなく、
使いながら、時々広げて、また仕立てる。
そんな付き合い方がいちばん似合う布です。
📦 廃盤・再入荷について
ブロックプリントの布は、常に同じものが作られ続ける前提ではありません。
工房の判断や職人の都合、その時々の状況によって、
ある日ふっと生産が終わることがあります。
人気の柄であっても、
同じ版木が使われなくなったり、
同じ色が再現されなかったりすることは珍しくありません。
「同じ柄をもう一度仕入れたい」と思っても、
まったく同じものが戻ってこないことの方が多いのが現実です。
これは品質が不安定だからではなく、
ブロックプリントが流行や大量生産ではなく、手仕事のリズムで作られているから。
だからこそ、
気に入った布に出会ったときは、
「また今度にしよう」が通用しないこともあります。
とはいえ、急いで決断しなければいけない、という意味ではありません。
ただ、ブロックプリントは一期一会の布であることを、
少しだけ頭の片隅に置いておくと、後悔が少なくなります。
その時、その工房、その職人の手を通って生まれた一枚。
同じものは、もう二度と作られないかもしれない。
そんな出会い方も含めて、
ブロックプリントを選ぶ楽しさの一部だと思っています。
🌿 おわりに|ブロックプリントと、気持ちよく付き合うために
ブロックプリントの布は、
特別に難しい素材でも、神経質に扱う必要のある布でもありません。
ただ、工業製品とは違うリズムで作られていて、
使い続ける中で、少しずつ表情が変わっていく。
それだけのことです。
洗い方や保管のポイントを知っておくことは、
失敗を避けるためというより、
布と気持ちよく付き合うための準備。
色が落ちることも、
柄にズレがあることも、
廃盤になってしまうことも、
すべてこの布の性格の一部です。
完璧に扱おうとしなくていい。
失敗しても、布が台無しになるわけでもありません。
「この布、好きだな」
その気持ちがあれば、それで十分です。
暮らしの中で使って、洗って、しまって、また取り出す。
そうやって少しずつ馴染んでいく時間ごと、
ブロックプリントを楽しんでもらえたら嬉しいです。

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